フェヌグリーク胚乳(ガム)について

フェヌグリークガラクトマンナン

胚乳に含まれる主要成分はガラクトマンナンです。ガラクトマンナンとは、マンノースの高分子化合物であるマンナンにガラクトースが結合している多糖類です。デンプンは、グルコースからできている高分子で、我々の栄養になりますが、マンノースから出来ているマンナンを、我々は、消化することが出来ませんので栄養にはなりません。しかし、ガラクトマンナンは、我々の食べ物に大きな貢献をしています。

ガラクトマンナン化学構造式(10KB)

ガラクトマンナンには水に溶かした際に粘度を増加させる性質があり、これが物の形を作るのに役立ちます。ミルクに、ガラクトマンナンを入れますとアイスクリームになりますし、ココアにガラクトマンナンを入れますとチョコレートになります。小麦粉に入れてラーメンを作りますと腰のあるラーメンが出来ます。このように水に溶かすと粘度を増加させる物質を増粘剤と呼んでおります。

同じガラクトマンナンから出来ていて増粘剤として使用されているものに、グアーガムやローカストビーンガムなどがあります。これらのガムもフェヌグリークと同じマメ科の植物の種子から得られるもので、フェヌグリークとは、兄弟のような関係にあります。しかし、全く同じではなく、少しずつ性質が異なります。その違いは、これらのガムの化学構造の違いからきています。フェヌグリークガムのガラクトースとマンノースの割合は、1:1であるのに対して、グアーガムは、1:2、ローカストビーンガムは、1:4とガラクトースの割合が少なくなっていきます。

このようにガラクトースの割合が少なくなるにつれて水に対する溶解性が悪くなっていきます。ガラクトースの無い100%マンナンは水には全く溶けません。それは、側鎖のガラクトースが、マンナンの高分子を長く伸ばし、水に不溶の結合物になるのを防いでいるからです。その為、ガラクトースを最も多く含むフェヌグリークガムは、グアーガムやローカストビーンガムに比べて、優れた溶解性と分散性を持っており、長時間安定したコロイドを形成いたします。電解質を加えると、ほんの僅か粘性は低下しますが、pHに対しては、安定していて粘度に変化は起こりません。ガラクトースは、親水性で、マンナンが、疎水性であることは、界面活性作用をもっていることになりますので、すなわち水と油を混ぜ合わせる乳化剤としての作用があります。油を水に溶かし、更に粘度を増加させ、水性コロイドを形成することは、油の粒子を適度に分散させ、引っ付くことを防ぎますので、油が分散した状態を長期間保つことが出来ます。このような性質を持っている物質を安定化剤と呼んでいます。フェヌグリークガラクトマンナンは、増粘剤として作用し、乳化剤として作用することで、食品などの安定化剤としても使うことが出来ます。

このように、フェヌグリークガムは,従来使われていたガムに比べて優れた物性を持っていますが、更に、面白いことは,ガラクトースの割合が大きくなるに従って、血糖降下作用やコレステロール降下作用が強くなることです。言い換えれば、フェヌグリークガムは、薬効を持つ天然食品添加物といえます。

フェヌグリークガムの持つ薬効

昔から民間薬として使われていたのですが、最近になって特に注目されるようになったのは、フェヌグリークガムの糖尿病に対する効果です。この数年間の間でフェヌグリーク種子粉末を配合した食物を取ると確実に血糖値が減少することが動物実験からも人の臨床試験からも確かめられたからです。更に、フェヌグリーク種子は、血液中のコレステロールや脂質を低下させたり、肝臓でのコレステロールの生合成を抑制する作用があることが解ってきました。多くの研究の結果、これらの作用を引き起こす物質は、種子の胚乳(フェヌグリークガム)に含まれるガラクトマンナンによることが判明しました。食物繊維と呼ばれる多糖類は、だいたいコレステロールを低下させる作用を持っているのですが,フェヌグリークガムは,更に血糖値を低下させる作用を持っているのが大きな特徴です。

フェヌグリーク種子を糖尿病や高コレステロール血症に使用する場合、多く取れば取るほど効果が高まることが解っていますが、フェヌグリーク種子は、味も苦く、独特のにおいを持っておりますので、種子を粉末にして多量に摂取することは困難でした。しかし、エアーグリーンでは、種子に25%しか含まれていない胚乳だけを取り出すことに成功しました。出来たのが、胚乳粉末です。このフェヌグリーク胚乳(ガム)粉末には、苦い、匂いのある種皮部分が含まれていませんので、味も匂いもありませんので、誰でも飲むことが出来ます。更に、エアーグリーンでは、胚乳からさらに精製して無味無臭のフェヌグリークガラクトマンナンだけを抽出することにも成功しています。

フェヌグリークガムの摂取量

フェヌグリークガムは、無害な物質ですので、摂取量に制限はありません。臨床試験では、ガム1.25g(種子として5g)で、血糖降下作用やコレステロール低下作用が現れていますが、治療目的でガム7.25g(種子として30g)を摂取している場合もあります。一般的には、胚乳粉末として6g前後、精製ガム粉末として5g前後摂取するのが効果的と考えられます。動物実験では、人が食べる量に換算して120g/日の量を投与しても安全であることが確認されています。

ガラクトマンナンの作用規序

ガラクトマンナンが、グルコースの腸管からの吸収を阻害していることは、動物実験で確かめられております。なぜ、人が消化吸収できないガラクトマンナンを摂取するだけで血液中のコレステロールが低下し、更に肝臓でのコレステロールの合成まで低下するのかまったく解っておりません。

一般的には、食物繊維により腸内粘度が増加してコレステロールを吸着して糞便として排泄するのでコレステロールの吸収が押えられて血中のコレステロール濃度が低下すると言われておりますが、それだけでは、肝臓でのコレステロール合成まで低下することを説明できません。

学説としては、ガラクトマンナンは、腸内細菌の栄養物になり、腸内細菌が繁殖するときにグルコースを分解して、揮発性脂肪酸に代えるために糖の吸収が少なくなり、更にそれらの脂肪酸が血液中に吸収され、コレステロールの合成を阻害するとか、ガラクトマンナンが腸管壁に影響を与えて、腸管壁から発生するホルモンや酵素を増加させ、それらのホルモンや酵素が、肝臓でのコレステロール合成や糖の吸収に影響を与えているなどが立てられていますが、どのように作用しているのかは、まだ十分に解っていません。オリゴ糖によりビフィズス菌が増加するように、ガラクトマンナンで繁殖する菌がこれらの作用に関係している可能性は大きいと思われます。

フェヌグリークガムのその他の効果

フェヌグリークガラクトマンナンは、食物繊維ですので、膨張性の下剤としての作用ももっており、便秘症の人にも有効です。さらに、コレステロールの低下とともに、トリグリセライドなどの血中脂質の減少作用もあります。血糖低下作用を見るための各種実験では、同時に体重の低下も観察されていますので、長期的に摂取しますと体重の減少が見込めます。その為、各種食べ物に配合することでダイエット食品を作ることが可能です。

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