良いアロエと悪いアロエ

アロエの植物自体に良い悪いの区別はありません。ここで言っているのは、植物のアロエから作られた製品の中に良いアロエ製品と悪いアロエ製品があるということです。

やけどをしてアロエを塗った経験がある方は多いでしょう。その場合は、どうされたでしょうか。まずアロエの葉を切って、切り口をやけどをした傷口に付け、そのねばねばした液を擦り込んだと思います。この時は、誰もが100%のアロエを使っています。

アロエは、100%天然の状態で使えば、アロエの持つ効果を100%得ることが出来るのです。アロエ入りの化粧品が多く売られていますが、何%アロエが含まれているのか表示されておらず、ただ「アロエ入り」と表示して売られている製品がほとんどです。
100%天然のアロエ塗った時の効果が100%であるならば、50%のアロエが入ったクリームを 塗った場合の効果は、何%でしょうか?50%であることは、誰の目にも明らかです。それでは、天然に比べて50%しか効果の無い製品は、良いアロエ製品なのでしょうか?それとも、悪いアロエ製品なのでしょうか?

アロエの搾ったジュースを使ってクリームを作る場合、アロエ以外の原料も必要ですので、100%アロエから出来たクリームを作ることは不可能ですから、50%アロエから出来ているクリームは良いアロエ製品といえるでしょう。

IASC認定マーク(4KB)

それでは、何%アロエが含まれていたら良いアロエ製品なのでしょうか。アメリカに国際アロエ科学評議会(IASC)という団体があります。 この団体は、アロエ製品の品質を検査し、使われているアロエの品質が高ければ、高品質のアロエ製品である認定をしています。この団体がアロエ製品の認定をする最低の基準は、15%以上アロエが含まれていることです。

15%以上アロエ含まれている製品は良い製品で、15%以下でなおかつアロエ入り化粧品であると表示して売っている製品は悪い製品といえるでしょう。

アロエベラには、経皮吸収促進作用がありますので、その効果を期待して、アロエベラを 配合している製品が多くあります。その場合は、15%以下の配合量でも、アロエ入りと表示していなければ問題はなく、良い製品といえます。

配合量が多くてもその使っている原料が悪ければ、それも悪い製品になります。アロエベラは、200以上の成分が共同して効果を発揮しております。そのため、効果のあるアロエベラ原料もその200以上の成分を天然の状態と同じ状態で含まれていなければなりません。

最も効果があるのは、新鮮なアロエベラをそのまま使った時であり、新鮮なアロエベラと同じ効果を持つ製品にするには、天然の組成をそのまま製品に出現できる原料を使う必要があります。

化粧品などに「アロエエキス配合」と言う言葉が書かれているのをよく見かけます。エキ スとは、植物などに含まれる有効成分を水とかアルコールなどで抽出したものですが、ア ロエベラ(もちろんキダチアロエも含まれます)の原料の場合、このエキスと言う言葉が 適当ではありません。なぜなら、アロエベラには特定の有効成分がなく、アロエベラに 含まれる200以上のすべての成分が有効成分であるからです。ですから、アロエベラからアロエベラ原料を作る場合、抽出という方法は使いません。ちょうどミカンを搾ってジュースを作るように、アロエベラゲルを圧搾してどろどろの状態し、まずアロエベラジュースを作ります。そのジュースから水分を取っていき、濃縮液や粉末を作っていきます。

アロエベラ原料の製造

アロエベラ原料を作る場合、次の3つの大きな問題があります。

1. 細菌汚染

アロエベラゲルの部分は、細菌に取って非常に栄養が豊富で、そして繁殖に必要な十分な水分を持っていますので、採取して放置しておきますとすぐに細菌が繁殖して、アロエベラの有効成分を分解してしまいます。細菌により汚染されたアロエは、細菌により有効成分が分解されてしまいますので、アロエが元々持っている薬効は失われてしまいます。 品質の良い原料を作るためには、十分な衛生管理をする必要があります。

細菌汚染された原料であるかどうかを判断するのに、我々は、L-リンゴ酸、乳酸、酢酸の定量を行っております。アロエベラが光合成により最初に作りだす物質がL-リンゴ酸です。細菌が付着し繁殖しますと、このL−リンゴ酸を細菌が食べて量が減り、逆に乳酸や酢酸の量が増えてきます。通常は、乳酸や酢酸は、アロエに含まれていませんので、これらの酸が液体クロマトグラフィーなどで検出されたら、そのアロエベラ原料は、細菌汚染された悪いアロエと判断できます。

2. 温度管理

生体には、様々な酵素があり、生体内の物質を合成したり、分解したりする化学反応に関与しています。通常、これらの反応がバランスよく保たれていて生命を維持しております。アロエの場合、光合成により出来たリンゴ酸からマンノース合成酵素の働きにより、 マンナンが作られ、逆にマンノース分解酵素により、マンナンが分解され、エネルギーの 産生などに利用されております。正常な状態では、この反応が、バランスよく行われてい るのですが、アロエの葉を採取しますと、光合成が行われなくなり、逆にマンナンの分解 だけが進みますので、アロエベラに含まれる多糖類が減少していきます。この状態になり ますと天然の組成と同じでなくなりますので、これらの酵素の活動を押さえる必要があり ます。

酵素活動を押さえるには、加熱するか冷却するかしか方法がありません。加熱は、酵素活動を押さえるのではなく、酵素活動を死滅させることになります。最近アロエ入りヨーグルトなどアロエのキューブ(立方体)が販売されています。こういった商品はアロエベラの形状が保つため、セルロース分解酵素を死滅させています。それにより薬効に関わる他のタンパク質も変性してしまうので、今売られているアロエ入りヨーグルトのアロエには、薬効はありません。

つまり酵素の活動を押さえるには、低温にする以外に方法がありません。圧搾して取ったアロエベラジュースを貯蔵や輸送が低温(5℃以下)で行われているかどうかが、良いアロエベラ原料を作る場合に重要になってきます。もし温度管理が行われていなければL-リンゴ酸の低下、マンノースの低下などとなって現れてきます。

3. 時間管理

十分に消毒し、そして低温にしていてもジュースの状態で長時間放置していますと、やはり組成は徐々に変化していきます。そのため葉の採取から、製品化まで出来るだけ短時間に処理する必要があります。我々の場合は、36時間以内に処理することを原則としています。良いアロエ製品とは、良い原料を出来るだけ多く使っている製品です。

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