ノニの作用

The Noni Phenomenonからの要約
Neil Solomon, MD, PhD
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キセロニンシステム

ノニが、多くの栄養学者や医師、そして健康問題の専門家から注目を集めているのは、ノニにプロキセロニンとキセロニンという重要な成分が含まれているからである。

キセロニン、プロキセロニンそしてそれらが行うキセロニンシステムと呼ばれている作用の発見の経過は、ノニの強力な治療効果を理解する上で多くの基礎知識を提供してくれる。ノニの研究の始まりは、パイナップルに含まれるブロメラインの研究からであった。太平洋の文明で長い使用の歴史があるノニであるが、今世紀の後半までノニに関する情報やその科学的研究はほとんどないに等しかった。

1950年代始め、ハワイのパイナップル研究所のラルフ・ハイニッケ博士は、パイナップルとその成分に関する研究を始めた。研究を始めてからすぐにハイニッケ博士は、ブロメラインと呼ばれている物質を単離した。ブロメラインに対する彼の初期の研究では、薬理作用に関して十分な成果がなかなか上がらなかった。ある時、彼は、ブロメラインを含むパイナップルエキスには、特別ユニークで効果的な薬理特性があるという報告を他の研究者から受け取った。それで、彼は、提出されたデータを再考して、ブロメラインを含むパイナップルエキスには特別な作用をする未知の成分が含まれているという結論に達した。その結果、ハイニッケ博士と彼の研究チームは、ブロメラインとブロメライン以外のパイナップルエキスに含まれる薬理活性を持っている物質をより綿密に調査し始めた。数年の細部に渡るそして注意深い研究の後、遂にハイニッケ博士は、パイナップルエキスの中に特殊な薬理活性を持つ物質を確認することが出来た。彼が発見した物質は、プロキセロニンと呼ばれるもので、プロキセロニナーゼという酵素の存在下で他の物質と結合したとき、アルカロイドのキセロニンを変換する特徴を持っていた。しかし、当時、ハイニッケ博士は、プロキセロニンがどのように作用し、治療効果を発揮するのかということは解らなかった。ブロメラインの研究を行っていた数年間とそれに続くノニエキスの研究で、ハイニッケ博士と彼の研究者は、プロキセロニンの作用に関する理論を確立することが出来た。簡単に言うと、プロキセロニンは、体内でキセロニンを作るために必要な前駆物質で、キセロニンは、ノニが示す一連の治療効果を発揮する物質であることが解った。キセロニンは、一連の生化学的反応を行って異常な機能をする細胞を正常な機能の持つ細胞に回復させることで障害を治し、更に正常な細胞が正常な機能を維持するのを助ける作用を持っているという仮説である。この仮説に従うとノニは、細胞レベルで作用しているためあらゆる病気を治すことができることになる。

ハイニッケ博士は、パイナップルからプロキセロニンを発見したのであるが、それよりも、さらに重要なことは、プロキセロニンを最も多く含む植物はノニであることを発見したことである。事実、ノニは、ノニ以外で最もプロキセロニンを含む植物であるパイナップルの40倍のプロキセロニンを含んでいる。ノニが、パイナップルの40倍のプロキセロニンを含んでいることを知ったハイニッケ博士は、研究対象をパイナップルからノニに変更した。

ハイニッケ博士がブロメラインの研究をしているとき、ブロメラインが慢性痛、ガン、関節炎、月経痛を含む各種の病気に有効であることを見つけた。この発見に対して、複数の製薬会社が、ブロメラインに関心を示し、その作用を解明し製剤化しようと考えた。結果として、ハイニッケ博士は、ブロメラインを商品化するための責任者として製薬会社に迎えられた。医薬品を作る上で有効成分の精製は重要なことであるのでブロメラインを高純度に精製していったが、逆に精製すればするほど初期の持っていた薬効がなくなることが解ってきた。その時は、ハイニッケ博士も製薬会社も知らなかったが、効かなかったのは、ブロメラインを精製して単離する過程で薬理活性を持つ有効物質を取り除いてしまっていたからである。それなら、なぜブロメラインを精製したら効果が無くなったのかを研究するのが製薬会社として次の研究課題であるが、しかし、この製薬会社は、何らかの理由でブロメライン以外の薬理活性物質を解明する研究を中止してしまった。その結果、ハイニッケ博士は、製薬会社を離れて単独でブロメラインを含むエキスに含まれる未知で神秘的な成分を探す研究をそれから10年間続けることになった。

有効物質を見つけ出す彼の仕事は、非常に困難なものであったが1974年になってハイニッケ博士は、20年前に単離したが、何の作用をするのかよく解らなかった物質、そして、当時はむしろじゃまにさえ思っていた物質が、パイナップルエキスの薬理作用を理解するためのキーになるのではないかと考えるようになった。この物質は、プロキセロニンという物質であった。ハイニッケ博士は、彼の研究の初期段階で単離していたが関心を示さなかった別の物質も、プロキセロニンの利用に非常に重要であるという結論に達した。この物質は、プロキセロニナーゼという酵素である。その後、ハイニッケ博士は、プロキセロニン、プロキセロニアーゼと他の少数の成分が、相互に作用してキセロニンを作り、障害があり、正常に機能しない細胞を正常な細胞に修復するすばらしい作用を持っていることを見つけた。

キセロニンを体内で生合成するのに必要な物質は、プロキセロニンとプロキセロニアーゼ(酵素は、反応工程で触媒として必要)と多分ビタミン、ミネラル、タンパク、抗酸化剤そしてセロトニンのような他の成分である。人は、それらすべての物質を蓄えているが、プロキセロニンだけは、常に不足している。それでは、どのようにしてキセロニンは身体で作られるのか?ハイニッケ博士によれば、脳が2時間毎に血液中にプロキセロニンを放出するように指示する信号を出す。プレキセロニンを貯蔵している肝臓がその信号を受け取り、プロキセロニンを放出する。体内の各組織は、組織を修復するのに必要なキセロニンを作るために必要なプロキセロニンを血液中から取り込む。細胞は、通常キセロニンを合成するためのプロキセロニアーゼやその他の物質は豊富に持っているが、プロキセロニンだけは、その供給量が限られているためあまり持っていない。正常な人にとっては、少量の身体に蓄えられているプロキセロニンで、異常な細胞を修復するのに十分な量であるが、しかし、ガンになりかけの細胞があるとき、ウイルスが感染しているとき、異常に大きなストレスを受けているときなど、修復すべき異常な細胞が多いときは通常より多くのキセロニンが必要となり、より多くのプロキセロニンが必要になる。しかし、人は、通常の食事からは、急に大量のプロキセロニンを取ることが出来ない。その結果、プロキセロニンを多く含んでいるノニを取ることは、各細胞からの要求を満たせることになる。

ハイニッケ博士は、ノニにキセロニンがあるのではないかと考え、これを単離しようと考えた。その結果、ノニの中に少量のキセロニンが含まれていることが解り、それを得ることが出来た。このキセロニンの理論を実証するために、彼は、猛毒であるテトロドトキシンをマウスに投与して精製したキセロニンの効果を判定する実験を行った。テトロドトキシンは、実験でマウスを殺すときごく普通に使われている。テトロドトキシンを注射するとマウスは逆上し、痙攣し、直ちに死んでしまう。ハイニッケ博士は、1つのグループにテトロドトキシンだけを、もう一つのグループにテトロドトキシンとキセロニンを投与した。毒だけを投与したグループは、100%予想された苦痛を伴う死に方で直ちに死亡した。反対にキセロニンと毒を同時に投与されたグループは、100%生存した。そして生存しただけでなくこのグループは、苦痛やショックの徴候さえ見せなかった。ハイニッケ博士は、正確を期すために、この実験を複数回繰り返したが、結果はすべて同じでマウスは毎回生存した。ハイニッケ博士は、この実験の結果、キセロニンの薬理効果が確実なことを実感した。プロキセロニンとキセロニンは、ノニに含まれる多くの健康増進作用のある物質の内の2つである。もちろん、これ以外にも身体に作用する物があるかもしれないが、ハイニッケ博士の研究や他の研究から、これら2つの物質は、ノニに含まれる最も重要な成分であると言える。

一酸化窒素

ノニの治療効果に関与している別の物質に一酸化窒素(NO)がある。これは、スモッグなどに含まれる大気汚染物質としてよく知られている。しかし、体の中では、一酸化窒素は、汚染物質ではなく、非常に重要な物質である。最近の数年間の間に研究者達が、身体の多くの作用や活動で重要な役割を持っている一酸化窒素に関する一連の革新的な発見を明らかにした。そして、ノニには一酸化窒素は含まれていないが、体内で一酸化窒素の産生を刺激する作用があることが実験的に証明された。1980年代に一酸化窒素の生化学的な役割が発見されて以来、体のほとんどすべての機能に一酸化窒素が関与しているという何千という研究発表が医学雑誌などに発表されている。そして、最近の研究は、熱帯の奇跡の植物ノニが体を刺激してより多くの一酸化窒素を産生させる作用があり、その結果、多くの障害を治し、予防する効果があることを示した。デューク大学薬学部教授ジョナサン・スタムラー博士が一酸化窒素の役割を明らかにしてからは、一酸化窒素が関わっていない細胞反応や生理効果を探す方が難しいくらいである。それらの作用には、脳の働き、呼吸作用、心臓の鼓動、血管拡張、消化器官の蠕動、血球の作用、免疫機構から指や腕の動きまで体のほとんどの複雑な作用を含んでいる。(1)

体の中で一酸化窒素か関与している多くの作用をあげると次のようになる。

一酸化窒素は、身体の多くの作用で非常に必要な物質である。その中でも特に必要としているのは、心臓血管系と免疫機構である。しかし、一酸化窒素の重要性を認識されだしたのは、ほんの最近である。容易に理解されなかったのは、一酸化窒素が、体内でほんの五秒ぐらいしか存在しないためと他の生理物質とは、あまりにも似ていない物質であったので今日まで多くの生理学者から関心を向けられなかったからである。(2) しかし、ほんの数年で従来の医薬品の常識を覆してしまうような、そして広範囲な疾患を改善する新しい有効物質としての一酸化窒素に関する情報の大津波がやってきた。1992年一酸化窒素は、科学雑誌の「最も話題になった分子」の投票で1位になった。そして、消費者向けの健康雑誌は、「一酸化窒素の大騒ぎ」とか「インポテンツには一酸化窒素」と言ったタイトルで連載記事を掲載しだした。

我々のほとんどの人は、血管系の中心は、心臓でそこから血液が大動脈を通り動脈に行きさらに小さな動脈から最後には、毛細血管に行くことを知っている。体は、体の各部分の要求に応じて血管を拡張したり収縮したりすることで血流量を調節している。例えば、ジョギングをしたとき、体のいろんな所、特に足で筋肉の収縮に必要な酸素が必要になるため血流が増加する。又、冬の寒い日屋外に長くいると体温が低下するので、体温を正常に保つため血流を増加させる必要がある。血管拡張と血管収縮という2つの作用により、これらのすべての状態を達成することが出来る。これは、特に小動脈で起る。血管の回りには、平滑筋が取り囲んでおり、その平滑筋が、収縮したり弛緩したりする事で血管が拡張したり収縮したりする。ちょうど血管が、伸縮自在の包帯で覆われているようで、包帯がきつくなると血流が少なくなり、緩くなると増大する。いろんな化学物質が信号となり平滑筋に対して収縮と拡張を行わせる。たとえば、アルコールは、平滑筋を拡張させ、血流を増大させる典型的な例である。寒い日にウイスキーを飲んだら、手や足が暖かくなるのはそのせいである。しかし、血液が偏在することになり、体の主要器官の血液が少なくなり温度が維持できなくなり低温症になる危険が増大する。一方普通の状態では、平滑筋は、不随意筋であるので我々の意志で平滑筋を動かすことも出来ないし、血管を調節することもできない。その代わりに、血管は、一酸化窒素によって調節されている。血管壁にある内皮細胞で作られる一酸化窒素が、平滑筋に作用して血圧を調節していることが解ってきた。(ノニは、内皮細胞を刺激して一酸化窒素の産生を高める)ノニがどうして血圧を下げるのかは、解っていないが、脳卒中からの回復を促進したり、心臓病の症状を改善したりすることは、何百年の使用の歴史と何千人の使用者からの聞き取り調査ではっきりしている。そして、最近ノニに関する研究が進んできて、一酸化窒素の様な働きをする成分がノニに含まれていて、心臓や血管系の病気を改善する高い能力を持っているのではないかと考えられている。

体の各種の防御システムは、たびたび一緒になって多機能で複雑な作用をする免疫システムという包括的な組織を作る。これらの防御力の内最も頼もしいのは、体内に進入した細菌やウイルス、ガン細胞を捕らえ破壊するキラー細胞のような特殊化した攻撃細胞である。又、攻撃して破壊した病原体の残査を捕まえ分解してから吐き出すマクロファージのような各種の食細胞もあり、進入した細胞が持っているタンパク情報を書き留めて、次に来たときに防御組織が抗体を作りやすくする知能細胞もある。1980年代半ばに、研究者達は、食細胞であるマクロファージが、一酸化窒素を作ることの出来る酵素を体内に持っていることを確認している。その後、一酸化窒素が進入した微生物やガン細胞を殺す兵器の役目をしていることを示す多くの証拠が発見された。1991年に英国の医学雑誌The Lancetに発表された論文は、この良い例である。その論文では、30gのアルギニン(細胞は、これを利用して一酸化窒素を作る)を3日間ガン患者に投与した場合、ガン細胞を無害化するキラー細胞の能力が91%上昇したということである。(3)

ノニを免疫システムの増強の為に使うことが非常に有望であることを示す研究結果が発表された。その研究では、ノニが一酸化窒素を体内で生合成するのを刺激していることを示した。1997年ハワイ大学の研究者達は、ノニを服用することでマクロファージの活性が通常より3倍高くなることを明らかにした。更に別の免疫機能物質であるインターフェロンと結びついた時は、その効果は、更に増加した。研究者達は、サイトカインの定量と一酸化窒素の確認の実験からノニがマクロファージの活動を刺激していることを確認した。サイトカイン《リンパ球やその他の細胞から分泌される活性液性因子; 生体の防御機構全体に作用し抗腫瘍効果を発揮する》更にノニは、一酸化窒素の産生をも効果的に増強することが確認された。(4)

ノニにより産生が増強され、出来た大量の一酸化窒素は、ガン細胞とっては毒になる。ノニによる一酸化窒素の増加による効果は、ガン細胞を攻撃することだけにとどまらない。一酸化窒素は、進入した病原体に対して攻撃して死滅させる作用を持っている。ノニがウイルスや細菌を殺す効果的な抗菌剤であることを示す報告が多くあることは、ノニによる一酸化窒素の増加と関係があると考えられる。一酸化窒素ガスが鉄を含んでいる分子と一緒になると細胞呼吸を妨害することが確かめられている。このことが体内で起ると、一酸化窒素が進入した病原体の呼吸を阻害して病原体を殺していることになる。

一酸化窒素の病原体やガン細胞を攻撃する2番目の方法を、増殖に必要なDNA複製に関与している酵素の働きを阻害して増殖できなくすることである。更に一酸化窒素は、ガン細胞や進入した病原体を無力化するためにマクロファージを刺激しその活性を高めている。発ガン物質をラットに与えてガンの発生率を見る実験で、同時にアルギニンを与えた場合、発ガン率は28%で、与えなかった場合、100%発ガンした。更に、アルギニンを与えたグループのガンの成長速度は、ゆっくりであったのに対して、与えなかったグループのガンの成長率は、急速に悪性化していった。このことは、アルギニンを投与することで一酸化窒素が多く作られ、それがガン細胞を減少させていることを示している。

1963年の初期の段階で、ノニは、感染した細菌を殺すことが知られていた。ハワイ大学出身の研究者Oscar Levandは、複数の病原菌に対してノニが殺菌効果を持っていることを確認している。彼の注意深く構成された論文では、「ノニの治療効果は、ハワイにある101種類の植物の抗菌活性を調べたBushnell等によってin vitroの実験で十分に確認されている」と述べている。ノニジュースは、3種類の細菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌に抗菌力を持っていることが確認されている。又、salmonella typhosa, Salmonella montevideo, Salmonella schottmuelleri, Shigella paradysentedae BHそしてShigella paradysenteriae Ill-z の5つの腸内細菌でも抗菌活性があることが観察されている。(5) これらの研究結果から、ノニが直接に細菌に作用して殺菌するのと、体の免疫機構を刺激して細菌の活性を阻害する2つの方法で細菌を殺していることになる。更に、ノニは、体内の一酸化窒素の産生を高めることで細菌を殺している。このことは、一酸化窒素は、ノニに含まれてはいないがノニにより体内で多く作られそして病原体の進入を防いでいるので、ノニに含まれる物質と同じ様な物と考えられる。

スコポレチン

ノニに含まれるもう一つのはっきりと解っている健康増進物質は、スコポレチンという物質で、1993年ハワイ大学の研究者達により最初に単離された。最初の発見に続いて、別の研究者がノニの血圧を調節する作用はこのスコポレチンによるのではないかと示唆した。1992年に優れた植物学者であるDr. Isabelle Abbottは、スコポレチンが、ノニの高血圧に対する効果に関係しているのは確実であると述べている。スコポレチンは、血圧が高いときは下げるように、低いときは上げるように相互的に働く。スコポレチン単独を使った動物実験では、スコポレチンは、低血圧症と呼べるぐらい低いレベルまで血圧を下げてしまった。一方ノニの抽出物で行われた試験では、スコポレチンは、ノニに含まれる他の成分と反応して、血圧を下げすぎることはなかった。1万人に対する聞き取り調査では、ノニを飲んでいる正常な血圧の人や高血圧の人が低血圧になったという例は全くなかった。

ダムナカンタール

何らかの治療効果を持っていると考えられているノニの他の成分にダムナカンタールがある。一般的にノニは、ガン細胞の成長を押さえる作用を持っているとされている。その作用を行っているのがダムナカンタールである。1993年平松と仲間の研究者は、ノニの根のクロロホルム抽出物からダムナカンタールを単離した。(ノニのほとんどの商品は、ノニの果実から出来ているが、ジュースにノニの他の部分の抽出液を加えた製品が多く発売されるようになってきている)これらの研究者の研究では、ダムラカンタールが肺ガン、大腸ガン、膵臓ガン、各種白血病を含む人の複数のガンに対して有効であることを明らかにした。研究者達によれば、ダムラカンタールは、ガン細胞に全く正常な細胞であると信じ込ませることで、細胞の増殖を停止させるか少なくとも低下させていると考えられている。 (6)

ゴルジ体

ハイニッケ博士達が立てたノニの作用を説明する仮説とは、次の様な物である。

1880年代終わりころ、細胞の中にゴルジ体と呼ばれるものがあることが解っていた。ゴルジ体は、ほとんどの細胞にあり、各細胞の核の近で無規則に曲がりくねったチューブが層になっているものを言う。現在では、ゴルジ体の機能について、理解されるようになったが、まだ解明されていないことも多く残っている。簡単に言えば、ゴルジ体の基本的な仕事は、タンパク質のような各種化合物を集めて包装してそれを必要としている他の細胞に出荷する作業員のような仕事をする。細胞に取り込まれた物質を、必要な物だけ包装し、宛名を貼り、目的の細胞に配達する非常に効率的な郵便局のような仕事をする部分である。ハイニッケ博士達は、ノニの作用にゴルジ体が関わっていると考えた。ノニを摂取したとき、プレキセロニンは、体に取り込まれ、肝臓にある特定の細胞に取り込まれ、そのゴルジ体に貯め込まれる。ゴルジ体の中で、プロキセロニンは、他の生化学物質と結合し、各種細胞を維持するのに必要な物質の集合体を形成する。これらの生化学物質には、ホルモン、タンパク、酵素、セロトニン、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、などが含まれる。プロキセロニンと他の生化学物質の組み合わせは、各細胞から送られてくる信号により決まり、一定ではない。ゴルジ体は、必要な物質の組み合わせを作り、それを必要としている細胞に宛名を付けて血流を通してその細胞に物質を運ぶ。届けられたプロキセロニンは、他の生化学物質との結合がとかれ、プロキセロニンは、プロキセロニナーゼと結びつき、キセロニンに変換される。キセロニンは、他の必要な生化学物質と作用して、細胞の修復に必要な物質を作り細胞を正常化する。このような処理を繰り返すことで正常な細胞が増加し、最後には、体全体がバランスの取れた健康状態になる。もちろん、この過程で不足している物質は、プロキセロニンだけであるが、幸運なことに、十分な量のノニを摂取することで補給することが出来る。体の状態によりプロキセロニンの必要量が決まるので、重症の場合は、ノニを多く取る必要がある。

この仮説が発表されたより後で、1999年にロックフェラー大学の生物学者であるDr. Guenther Blobelにノーベル医学賞が与えられた。ノーベル賞の対象となった研究は、タンパク質を各細胞に送られるときに郵便番号のような信号を付けることで特定の細胞にタンパク質が送られていることを発見した。この研究は、プロキセロニンが、タンパク質を含む各種物質と結びついて障害のある細胞に送られるという我々のハイニッケ博士達の仮説と非常に似ている。

参考文献

  1. Blakeslee, S. "Surprise Discovery: Hemoglobin Has Bigger Role." The New York Times, March 21, 1996: A1-22.
  2. Kolata, G. "Key signal of cells found to be a common gas." The New York Times, July 2 1991: C1 & C6.
  3. Park, K.G.M., Hays, P.D., Garlick, P.J., Swell, H., and Eremin, O. "Stimulation of lymphocyte natural cytotoxicity by L-arginine." The Lancet 337 (1991): 645-646.
  4. Hirazumi, Anne. "Antitimor Studies of a Traditional Hawaiian Medical Plant, Morinda citrifolia (Noni), In vitro and In vivo." Doctoral dissertation, University of Hawaii: 1997.
  5. Levand, Oscar. "Some Chemical Constituents of Morinda citrifilia L. (Noni)." Doctoral thesis, part I, University of Hawaii; 1963: 2.
  6. Kumer, et al. In Basic Pathology, 6th ed. W.B. Saunders Company, Philadelphia: 1997.

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